年間200本の映画を観るぼくがオススメする7つの映画と7人の映画監督 - 私を構成する映画監督 –

最近わたしを構成する9枚のCDというテーマのコラムを読みましたほうほう。すごく面白い着眼点。確かに私を構成する、明らかに自分の価値観に影響を与えてる作品ってありますよね。 

というわけで今日は「わたしを構成する7人の映画監督」というテーマです。普通におすすめしたい監督は7人じゃおさまらなかったという理由もありますが。では早速紹介していきます。 

周防正行(すおまさゆき)

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代表作

「Shall We ダンス?」「シコふんじゃった。」「それでもぼくはやってない」

 立教大学在学中に、高橋伴明監督の助監督を務めるようになり、以降、若松孝二監督作や井筒和幸監督作にも助監督として携わる。89年、「ファンシイダンス」で商業映画初メガホンをとり、続く「シコふんじゃった。」(92)で日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞。大ヒット作「Shall We ダンス?」(96)は、同賞で作品賞・監督賞・脚本賞など13部門を総なめにし、ハリウッドでもリチャード・ギア主演でリメイクされた。その後11年ぶりに発表した「それでもボクはやってない」(06)では、娯楽映画から一転して裁判というシリアスな題材を扱ったことでも話題を呼んだ。*1

 ぼくが大好きな周防正行監督。「Shall We ダンス?」を観たことある人は多いと思います。彼の奥さんはこの作品で主演した草刈民代さん。小さい時に「シコふんじゃった。」を観て超ハマったんですよ。「シコふんじゃった。」は廃部寸前の相撲部にしぶしぶ入った大学生のコメディ。外人の留学生が相撲部に入部するんですけど、「人前でお尻は出せない!」とスパッツはいて相撲するんです。それがとにかく愛らしい!なんかほっこりする映画なんですねー。

ぼくは彼が描く上品で棘がある世界観に惚れています。「それでもボクはやってない」、「終の信託」はあなたの価値観をガラッと変えてしまうかもしれない、社会派映画です。一度観る価値あり!

キャスリン・ビグロー

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代表作

「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」 

アクション映画を得意とする女性監督。コロンビア大学の大学院で映画について学ぶ。82年、モンティ・モンゴメリーと共同で「ラブレス」を監督。87年「ニア・ダーク/月夜の出来事」で単独監督に挑む。その後、ジェームズ・キャメロン製作総指揮「ハートブルー」(91)やサターン賞を受賞した「ストレンジ・デイズ/19991231日」(95)、「K-19」(02)などを発表。イラクで爆弾処理にあたる米軍兵士を描いた「ハート・ロッカー」(09)ではアカデミー賞で女性初の監督賞を受賞した。*2 

キャスリン・ビグローは女性初のアカデミー賞受賞監督。実はぼく、彼女の作品を2つしか鑑賞してません。たった2作品ですがそれでもぼくの心をガッツリ掴むのには十分でした。

「ハート・ロッカー」はぼくが人生で唯一、映画館に2回観に行った映画です。内容は、イラク戦争中の米軍爆弾処理班の男の話。予備知識無しで観ると、戦争ジャンキーの主人公ってやっぱ狂ってるよね?とすごく誤読しやすいんです。ぼくもそうでした。でも2回行って違うとわかりました。終始描かれるのは「天職とはなにか?」というみんな共通の悩みに対する回答。ぼくが今こうやって文章を書いてることも、少なからずこの作品の影響です。いまの仕事ってほんとに自分に合ってるのかな?と思ってる方。是非、この映画を何度もみて下さい。あなたの人生のなにかが変わると思います。

北野武


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代表作

「その男、凶暴につき」「ソナチネ」「アウトレイジ」

83年、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」で俳優として注目を集め、89年「その男、凶暴につき」で主演も兼ねて、映画監督デビュー。「3-4×10月」「ソナチネ」「キッズ・リターン」などほぼ年1本平均で撮るごとに注目を集め、97年「HANA-BI」でベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞、世界的な人気監督に。以後「菊次郎の夏」「Dolls」そして勝新太郎のキャラクターを自分流にアレンジした「座頭市」を発表。日本を代表する映画監督の一人となっている。05年からは東京芸術大学大学院映像研究科教授も務めている。 *3 

はい、ビートたけし。ほんと天才ですよね。

毎週世界まる見えで、プシューーッと楽しそうにケムリを吹きかける彼が大好き。ほんとガキ大将みたいで。そんなコメディアンの顔があるかと思ったら、ハードなヤクザ映画で徹底的に暴力を描く。彼の人間的深さには興味が尽きません。底はあるのでしょうか?1番のおすすめは全員悪人でおなじみの「アウトレイジ」。映画好きじゃなくても楽しめる、エンタメヤクザ映画です。加瀬亮がかっこ良すぎる。

クエンティン・タランティーノ

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 代表作

「パルプ・フィクション」「キル・ビル」「イングロリアス・バスターズ」

高校中退後、俳優を目指す傍らレンタルビデオ屋の店員になり、膨大な数の映画を鑑賞する生活を送る。やがて脚本を書くようになり、「レザボアドッグス」を自主製作しようとしたころ、俳優ハーベイ・カイテルの目に留まり、彼の後押しもあって監督デビューを果たす。同作は、91年のサンダンス映画祭で好評を博し、その後劇場公開もされて評判となる。デビュー前に書き上げた「トゥルー・ロマンス」が93年にトニー・スコット監督の、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」が94年にオリバー・ストーン監督の手によって映画化。自身監督2作目「パルプ・フィクション」(94)にはスターがこぞって出演し、カンヌ国際映画祭でパルムドールを、アカデミー賞では脚本賞を受賞した。*4

まあこの人は嫌でも出てきますよね。B級映画を作らしたらタランティーノは最強です。ぼくは基本的には誰でも映画好きを公言していいと思ってます。でも唯一、タランティーノを観たことがあってタランティーノを評価しない人の話をぼくは聞く耳を持ちません。この人の良さが分からない人と映画の話はしたくない。そのくらい現代の映画界にとって貴重な人物なんです。

この人がぼくに与えてくれたのは「ヒップホップ」。彼の映画の作り方はとってもヒップホップの思想に近いと思うんですね。サンプリングやオマージュを多用するパッチワーク的方法論はまさにヒップホップそのもの。ぼくがラップが好きなのは彼の映画が好きだからなのかもしれません。

 「ジャッキー・ブラウン」以外の映画は全部おすすめなんですが(個人的にあんまり好きじゃかった)、あえて1つだけオススメ作品を挙げるとしたら「パルプフィクション」。内容は、マフィアの親分の奥さんが超美人で、子分がその世話をしている途中、奥さんがヤクでぶっ飛んでうんたらかんたら。時系列シャッフルなんですが、とにかく中身が無い。観た後に残るものはなにもありません。タイトルのパルプフィクションの意味も「くだらない話」。ただの娯楽。でもメッセージがないモノを超楽しく2時間以上魅せられるのは彼しかいないと思ってます。超おすすめ。

ポン・ジュノ

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代表作 

「殺人の追憶」「グエムル-漢江の怪物-」「母なる証明」

95年、韓国映画アカデミーを第11期生として卒業し、卒業制作の「支離滅裂」はバンクーバー国際映画祭や香港国際映画祭に招待された。初監督作は00年の「ほえる犬は噛まない」で 脚本も担当。カンヌ国際映画祭で話題を呼んだ「殺人の追憶」(03)は韓国で大ヒットしただけでなく、日本でも注目を集める。06年の「グエムル 漢江の怪物」は、当時、韓国映画市場で歴代動員数1位を記録した。初の海外作品で、ミシェル・ゴンドリーとレオス・カラックスとのオムニバス映画「TOKYO!」(08)の後、再び母国に戻り「母なる証明」(09)を監督。13年の「スノーピアーサー」は、クリス・エバンス、ティルダ・スウィントンらをキャストに迎え、初の英語作品となった。*5

現代の映画監督でスタンリー・キューブリックに最も近いのはポン・ジュノだと思ってます(さすがにキューブリックの美的センスには及ばないけど..)。どんな作風の人かというと、ガチガチの社会風刺をエンターテインメント作品に昇華させるのがとにかくうまい監督。

最近の韓国映画ってほんとレベルが高いんですよ。韓国は人口が少ないので、国をあげて映画や音楽などのエンタメ作品を世界に売り込もうとしてます。ポン・ジュノ以外にもファン・ドンヒョクやパク・チャヌクなど凄い作品をバンバンリリースする監督もたくさんいます。

おすすめは「スノーピアサー」という作品です。wikipediaから内容を少し紹介。

2031年。地球温暖化を食い止めるべく散布された化学薬品によって、全ての陸地が雪と氷に覆われてしまった世界。わずかに生き残った人類は、永久機関によって動き続ける列車「スノーピアサー」の中で暮らしていた。だがそこでは、前方車両に住む富裕層が全てを支配し、最後尾に住む貧困層は奴隷同然の扱いを受けていた。そんな中、貧困階級のカーティスは自分達を苦しめる理不尽な支配に立ち向かうべく、仲間と共に反乱を企てる。*6

韓国映画なんですが、キャストはほとんど外国人。この作品がおもしろいところは、機関車という狭い世界を徹底して管理社会の縮図として描写しているところ。ほんとに偉そうで腹の立つ富裕層を貧しい主人公が倒していく姿は痛快!ものすごく面白い作品です。是非見てみて下さい。

園子温

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 代表作

「冷たい熱帯魚」「ヒミズ」「愛のむきだし」

監督デビュー作「俺は園子温だ!」(85)と翌年の「男の花道」がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)に入選、第4回スカラシップを獲得し「自転車吐息」を製作する。日本のインディペンデント映画の牽引役となり、作家性の高い作品を発表している。4時間を越える大作「愛のむきだし」(08)がベルリン国際映画祭フォーラム部門でカリガリ賞と国際批評家連盟賞を受賞。「冷たい熱帯魚」(10)はベネチア国際映画祭オリゾンティ部門で上映される。その他の監督作に「自殺サークル」「紀子の食卓」「エクステ」などがある。*7

今飛ぶ鳥を落とす勢いの日本人監督園子温です。観客の脳天を揺さぶる問題提起とグロテスクな描写が武器のハードパンチャーな映画監督です。 

 おすすめは、僕がこれまで観た全ての映画の中で一番特別な作品「地獄でなぜ悪い」です。主題歌は星野源の「地獄でなぜ悪い」内容は以下、wikipediaから引用。

ヤクザの組長・武藤(國村隼)は獄中にいる妻・しずえ(友近)の夢を叶えるために、本業そっちのけで娘・ミツコ(二階堂ふみ)を主演にした映画の製作を画策している。面会の度にしずえに対して、撮影は順調に進んでいると場を取り繕う武藤。しかし、肝心のミツコは男と逃亡中、そして、しずえの出所まではあと9日しかない。金に糸目をつけず、片っ端から撮影機材のレンタルをしながら、なんとか娘の身柄を確保した武藤は、ミツコから(実はすべて嘘なのだが)映画監督と紹介された駆け落ち男・公次(星野源)を監督に抜擢し、本格的に撮影準備を始める。映画監督として騙しながら映画を撮影しないと殺される公次は、右も左もわからぬまま、オールヤクザのスタッフの質問攻めに対応していくが、限界に達しその場を逃げ出してしまう。簡単に追っ手の組員に捕まってしまう公次であったが、そこに奇跡のような助っ人が現れる。それは「いつか一世一代の映画を撮りたい」と、少年期から映画監督を夢見る平田(長谷川博己)であった。映画の神様は自分を見捨てていなかったと、満を持して撮影内容の段取りを始める平田は、武藤と敵対するヤクザ組織の組長であり、過去の衝撃的な出会いからミツコに異様な愛情を抱く池上(堤真一)に協力を要請する。かくして、ホンモノのヤクザ抗争を舞台にした、スタッフ・キャストすべて命懸けの映画が、電光石火のごとくクランクインしようとしていた・・・。*8

設定が複雑なのですが、実際観てみると誰でも楽しめるコメディ映画です。

本当に出会えて良かった映画でした。滲み溢れるタランティーノへのリスペクト。オマージュオマージュの連続。浅く見ても笑えて、深追いすると止まらなくなる映画です。ストーリーはメタ構造になっていて、キューブリック作品のようなハイパーリアリティを感じられる映画。最近の邦画の中では最重要作品の1つだと個人的には思います。要チェック!他は「冷たい熱帯魚」「恋の罪」がおすすめです。

クリント・イーストウッド

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代表作

「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」

71年に製作した「ダーティハリー」で、スターの座を確立し、同年「恐怖のメロディ」で映画監督デビューもし、以後ほとんどの作品を自身のプロダクションで製作・監督・主演する。93年には「許されざる者」で、05年にも「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー作品賞・監督賞を受賞、映画作家としても頂点に上り詰めた。

 映画通を気取りたいならイーストウッドは必ず観ておきましょう。監督作品「許されざる者」「ミスティック・リバー」「ミリオンダラー・ベイビー」、主演作品「ダーティハリー」「荒野の用心棒」は押さえておくべきです。

彼の作品では他者との関係性の描き込み、とにかく人間の心の傷みの描写が半端ないです。イーストウッドの作品はあなたの人生観を変えてくれます。そのくらい説得力のある人間的深みを持つ映画監督。

特におすすめの作品は「グラン・トリノ」です。あらすじは以下

妻に先立たれ、息子たちとも疎遠な元軍人のウォルト(クリント・イーストウッド)は、自動車工の仕事を引退して以来単調な生活を送っていた。そんなある日、愛車グラン・トリノが盗まれそうになったことをきっかけに、アジア系移民の少年タオ(ビー・ヴァン)と知り合う。やがて二人の間に芽生えた友情は、それぞれの人生を大きく変えていく。*9

泣けます。ほんとうに泣けます。そして泣けるだけではなく、「人と付き合うということ」「友達がいるということ」がどんなことなのか。その答えの1つを教えてくれます。また、アメリカ南部における社会階層の描写も詳細で素晴らしいです。是非1度観賞してみることをおすすめします。

 

いかがでしたでしょうか。

今日は、ぼくを構成する映画監督と映画作品について紹介してみました。1つでも「観てみたいな」という作品があれば、この記事を書いた甲斐があります。是非、忘れない内にTSUTAYAに走ってみてください。

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